2011年2月11日金曜日

アカデミーヒルズセミナー 近藤誠一 x 竹中平蔵が語る「文化と経済」

アカデミーヒルズセミナー 近藤誠一 x 竹中平蔵が語る「文化と経済」 副題 「日本は文化で世界に打って出る」を聞いて
文化:日本復活の鍵 文化庁長官 近藤誠一氏
仮説
日本はその力を生かしきっていない。
その力を生かす1つの鍵が文化である。
結論
1.日本再生の鍵は文化
2.日本には再生に必要な文化的資源が十分ある。
人材、法的枠組み
3.国民にも漠然とした需要がある
4.必要なこと:
文化資源を国の力につなげるシステムの構築
制度改革(予算、寄附)
意識改革(文化を国民生活の中心、企業のCSRの中心)
教育、アートマネージメント
講演
・戦後の経済成長偏重により、豊かで安全な生活の基となる文化と芸術が軽視されてきた
・日本人はCreativeな時間に使う時間が少ない
・国家予算に占める文化予算の割合が、他の先進国に比べて低い
・地方文化行政と企業のメセナ活動については、20年前に始まった寄附活動が低迷している
・日本には優れた人材は十分にいる。又、文化遺産もしっかりと引き継いでいる
・日本は文化に対する政治的バックアップもある
・文化はリタイアしてから取り組むものではなく、毎日毎日の生活に取り込むのが大切
・日本人は、もっと文化、芸術を楽しむようにマインドセットを変える必要がある
日本人が海外に行って文化、芸術を楽しんでいることは意外に多く、海外では日本人は文化が好きな人種とみられているが、日本国内の文化、芸術に参加することが少ないようである。国内でも仕事帰りに文化、芸術を楽しむために定時に帰る事が良いことであるという雰囲気作りが必要である
・国がなぜ文化、芸術にお金を出すのかについての文化庁長官のお話
1.1人1人に感動することの楽しさを経験してもらう
2.社会的なインテグレーション(色々な人の参加を進める)
3.文化産業の育成(経済効果)
4.国際的な存在感を示す
・地域が一体となって文化活動をすすめるようにすべきである
・文化庁の考える日本の最大の文化発信は、海外のアーティストを日本に呼んでインスピレーションを感じて、国に帰って日本文化を広げてもらうことだと思っている
・日本は海外に対して日本の観光資源としての文化(祭りなど)をもっとアピールしてゆき、又、来た人たちに対応できる人材の育成が必要である
感想
昔は家に帰っても仕事をしていましたし、食事をしていても仕事のことを考えていました。しかし、文化活動への参加はほとんどなく、芸術に至っては海外出張があって時間がある時には必ず美術館を探して出かけてゆきましたが、国内ではまったくといっていいほど触れる機会がありませんでした。オーケストラも記憶にあるのは小沢征爾指揮のボストン交響楽団を聞いたことしかなかったように思います。竹中平蔵氏も言っていましたが、日本人はニューヨークフィルを聴きに行く人は多く、また、他の国から聞きにくる人もいて、ニューヨークフィルは財政的にもうまく運営できていると思いますが、日本国内の楽団が財政的にも苦労しているところが多いのも、日本の文化度が低いことを表していると思います。私も日本では、子供達を創造的に育てようという思いで美術館、博物館には頻繁に行きましたが子供達が大きくなるにつれ、これらのところに行くこともなくなりました。多分、自分に足りないものがリベラルアーツ教育だったんだという感じが潜在的にあったのかも知れないと、最近思うようになりました。そして、自分にはもうアート的な感覚の習得には遅いと考えていました。そんな状況が長く続いていましたが、一昨年末から、遅くったっていいと思い直し、意識的に文化的な活動に参加するようにしています。そのことを通じて、自分の意識も変わってきているように感じています。この講演に限らず、最近の講演では、今又、日本人は十分世界で通用する力を持っているので、自信を持って頑張りましょうというメッセージが多いように思います。昨年前半の講演では閉塞感という言葉が多かったのにくらべて、意識的に前向きな言葉が多くなってきています。